折角、流木を拾ってきたのに(或いは購入したのに)使用していると何やら白いカビのようなものが…
そんな経験ありませんか?
特に、生体がいるアクアリウムや爬虫類・昆虫ゲージ内に流木をレイアウトしている方々にとっては不安でしかたないでしょう。筆者もその一人です。
本記事では、そのような不安を払拭すべく下記3点を紹介します。
- アク抜きの必要性
- 流木のアク抜き方法「①水浸処理」と「②煮沸処理」の2通りの手順
- 実際に白カビが発生した時の対処法
尚、アク抜きの方法は、家にある身近なアイテムで出来る方法を手順付きで紹介しています。
アク抜きの必要性
結論からお伝えすると、流木の用途に合わせた処置を行えば問題無いです。
下記3シーンにおける流木のアク抜き方法を見ていきましょう。
- 爬虫類や虫類で使用する場合
- 水中で使用する場合
- インテリアとして使用する場合
❶爬虫類や虫類に流木を使用する場合
例えば、トカゲやカブトムシなどのペット用ケージ内に流木をレイアウトして使用するなら、流木に付着している砂や不要物などをブラシで落とすだけで処理が間に合う場合があります。
しかし、流木に不純物やカビが発生していると生体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
その為、少なくとも「水浸処理」でアク抜きを、安心して使用するなら「煮沸処理」を行うと良いでしょう。
アク抜きをしなくて良いという主張では決してありません。勿論ケアしておくに超したことは無いので、アク抜きの方法は下記に記載しています。
❷水中で流木を使用する場合
一方で、アクアリウムなど水中にアク抜きをしていない流木をそのまま入れると、流木から灰汁が出ることで水が茶色く色づいてしまい見栄えが悪いです。(所謂ブラックウォーター。)
また、流木の中に虫やカビや砂や苔など不要物が付着している場合が多く、それが原因で水質が変化することで、メダカや熱帯魚など生体に影響が出る恐れもあります。
従って、水中で流木を使用する場合はアク抜き作業は必要不可欠です。
❸インテリアとして使用する場合
また、流木をハンガーラックとして使用したりカフェやレストランの店内インテリア・レイアウト・オブジェとして利用する場合も、衛生面的に使用前にアク抜きをする必要があります。
個人的には、流木の使用用途に関係なく衛生面上必ずアク抜き作業を行っておくことをおすすめします。不安なく流木を使用する為に、処置しておくに超したことはありません。(実際にアク抜き作業を行っています。)
用途によって異なるアク抜き方法
流木の下処理は、流木の使用用途によって若干方法が異なります。ペット全般の生体向けに流木を使用する場合とインテリアとして使用する場合では処理上の注意点が異なる為です。
参考程度に、下図で用途ごとのアク抜き方法をご紹介します。
使用用途 | アク抜きの必要性 | アク抜きの方法 |
インテリア・小物 | 必要 | 水浸処理 |
ペット用(爬虫/類両生類/虫類など) | 必要 | 煮沸処理 |
水中用(アクアリウムなど) | 必要 | 煮沸処理 |
ハンドメイド用 | 必要 | 水浸処理 |
アクアリウムで流木を使用する際の注意点
アクアリウムなど水中で流木を使用する場合、アク抜き作業をしたとはいえいきなり生体のいる水中に流木をレイアウトすると、水質が変化してしまい生体に悪影響を及ぼすことがあります。
水質確認
その為、アク抜き後の流木を生体のいない水中で、活性炭やろ過砂利を活用し数日間水質が安定するまで確認すると安心です。
沈水処置
また、水に沈む流木とそうでないものがあります。いざ使用する時に流木が沈まない可能性も考えられるので、購入する際は販売者に、拾ってきた際はご自身で沈水処置が必要かどうかを確認する必要があります。
2通りのアク抜き方法
アク抜きには、①水浸処理と②煮沸処理の2つの方法があります。
下図の処理に掛かる必要日数(目安)は、淡水環境下で仕入れた流木の場合です。海水環境など他の環境下で仕入れた流木の場合、必要日数が変わるので処理をしながら対応する必要があります。
水浸処理 | 煮沸処理 | |
必要日数(目安) | 10-14日 | 3-5日 |
工程数 | 6工程 | 4工程 |
特徴 | ①一度に大量処理が可能。 ②手間は煮沸処理より掛からない。 | ①最小日数で処理が可能。 ②熱(火)を用いた処理。 ③煮沸工程中は時間と体を拘束される。 |
①水浸処理手順
処理中、体を拘束されずに作業したい方、日数をかけて下処理を行う余裕のある方に向いているアク抜き方法です。
1. ブラッシング
乾いたブラシで丁寧にこすり、砂や不要物を出します。流木の状態やサイズに応じてたわし・歯ブラシなど使い分けられると汚れを除きやすいです。
2. 重曹水に浸す(目安: 1-3日)
流木がしっかり浸りきる程度に重曹水を鍋やタライなどの容器に張り、アク出しを行います。
3. ブラッシング
水中につけておくと流木表面がヌルヌルしてくるので1点づつブラッシングが必要です。また、水カビが発生する場合があります。
水カビは白く綿状でモヤモヤと流木に絡まるように発生しています。これは毎日水を入れ替えて水浸処理をしても発生し得ます。ブラシでしっかり汚れを落とし、水カビが発生した流木を熱湯で殺菌処理までしておく必要があります。(詳細を後述しています。)
4. 水に浸す(目安: 3-5日)
流木がしっかり浸りきる程度に水を容器に張り、アク出しを行います。
5. ブラッシング
手順3と同じです。
6. 天日干し(目安: 2-3日)
中途半端に湿っているとカビが発生したり腐敗する可能性があるので、芯まで完全に乾燥させます。
②煮沸処理手順
煮沸処置は、水浸処理に掛かる日数と比較すると短期間で処理が完了する方法です。流木をすぐに使用したい方に向いているアク抜き方法です。
1. ブラッシング
水浸処理手順1と同じです。
2. 熱湯で煮沸
沸騰させた水で流木を煮込み、水が茶色くなる毎に交換しアク出しを行います。熱処理なので殺菌効果もあります。
熱(火)を使いながらの処理なので、作業中はその場に拘束されてしまいます。
3. ブラッシング
水浸処理手順①と同じです。
4. 天日干し(目安: 2-3日)
水浸処理手順⑥と同じです。
白カビが発生した際に行った対処(熱処理)
悲しいことに、白カビが発生しました。アク抜き処理を行っていても、環境によって白カビは残念ながら発生するようです…
気を取り直して白カビを熱処理します。
ブラッシング
まず、白カビをブラシで除去します。
今回、よりによって流木と石を掛け合わせたレイアウトに水草ウィーローモスを活着させて、経過測定をしていた流木に白カビが発生しました。
水草の除去
無常ですが、ウィローモスも除去します。(活着させてから30日前後です。)
熱処理
満遍なく、沸騰した水に流木レイアウトを浸けて熱処理します。(30分程熱処理)
別の白カビ対処法
薬剤や重曹を使って白カビを殺菌処理する方法が有ります。殺菌する1点で考えると有効的な方法ですが、エビや魚など生体のいる水槽やアクアリウムに使用していた流木の場合、再度水中に戻すことで水質環境が変化し、生体に影響が出てしまう可能性があるので注意が必要です。
まとめ
見事に白カビを発生させてしまいましたが、無事熱処理で白カビを殺菌できました。結果として、水草の活着が成功しなかった為、様子を見ながら再度挑戦しようと思います。
流木のアク抜き方法と実際に白カビが発生した時の対処法が、少しでも参考になれば幸いです。
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